トスカーナの休日(ネタバレ)/太陽に焦がれる

アッバス・キアロスタミトスカーナの贋作』と勘違いして録画してしまいました(爆)。折角なので観ることに…間違えなきゃ多分、見てなかった。
本作、ほとんどの女性は大好きだと思います。旅行で訪れたトスカーナで一目惚れしてしまった、伯爵家が所有していた築300年の古家をコツコツと手入れしていく内に、離婚の痛手を乗り越え、新しい家族を得る。最初に夢見た形ではないけど、人生の曲がり角で出会った諸々を経験したフランシス(ダイアン・レイン)は長い助走期間を経て、それらを受容し、人生を肯定していく。美しいトスカーナの風景、おいしそうな料理の数々、イタリア式スローライフの心地良さ。その上に、知り合うBFはハンサム揃い(笑)。日常に追われて疲労困憊の時には、身を切るような痛さを伴う乾いたリアリティよりも願望充足のファンタジーが欲しくなる。処方箋(サプリメント)映画の潜在的需要はあるんでしょうね。こういった作品が創られ、きちんと消費されるのは健全な事なんでしょうが。。フェリーニに見出された(見出されてしまった)女キャサリンの、自由奔放な生き方に纏いつく哀しみをもっと描いてくれたらなあ。。
目元の小じわが可愛いダイアンレインの清潔な色気(白いドレスはステキでした)、絵葉書みたいにきれいな風景(アマルフィも登場します)で観光気分も味わえ、フロイト的な欲望のメタファーであるヘビの登場、EU統合によってグローバル化した労働市場に流入する安価な東欧系(本作ではポーランド人)労働者、フェリーニに対する無邪気なオマージュ、愉しみ所はそれなりにあります。特にヘビの登場には、思わずニヤリ。