崖っぷちの男(ネタバレ)/スコッチをダブルで、氷はダイヤモンドにしてちょうだい

面白いなぁと思ったのは、ニューヨークの高層ビルから飛び降りようとしている(←これは一種の擬態なんですが)元警官の真の目的が徐々に明らかになるドラマと並行して、ダイヤを盗み出す過程をローテクで固め、コメディリリーフとしてジェイミー・ベル(ジョーイ・キャシディ)とアンジー(ジェネシス・ロドリゲス)のコンビを生かせたことでしょうか。アンジーのピンクの下着姿等の男性向けサービスショットもありますし(笑)、発育不良のまま大人になったようなジェイミー・ベルの頼りなさがサスペンスのフックになってて、『リトル・ダンサー』のあの男の子もこんなに大きくなっちゃって、でも大丈夫なのかしら?心配だわ…とすっかり親戚のおばさんにでもなったような気分を味わいました。ターゲットを嵌めつつ、ちゃっかり大粒のダイヤを盗んでプロポーズする落ちは、コンゲームの味わいもあって私は好みですね。
好奇心で集まった大衆を利用し、無実の罪を晴らす大舞台の証人にしようとする計画で、過去の現場で失敗を犯してしまったリディア・マーサー(エリザベス・バンクス)を引っ張り出せばおのずとマスコミがついてくる、メディアと大衆心理を逆手に取る毒を含んだ上々の滑り出しだったんですが、大衆心理を操作していた筈のニック・キャシディ(サム・ワーシントン)が、真に覚醒した大衆によって救われる(見物人の中からニックを救おうとする人物が現れる)必然性は分かります。が、それさえも計画の内、彼を救おうとした男性は仕込みだったくらいの毒があった方が、もっと愉しめたかも知れない。
デイヴィッド・イングランダー(エド・ハリス)が、破滅を目前にそれでも尚、繋がれた手錠毎、彼の「命」である金庫を引きずってみせる悪足掻きには、どうやら一代で財を成したらしい、叩き上げの者だけが持つガッツが感じられて良かったです。

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