映画館と観客の文化史

映画館と観客の文化史 (中公新書)

映画館と観客の文化史 (中公新書)

映画の作り手ではなく、映画を観る(消費する)観客と上映形態(映画館)との関係の変遷を追った解説書です。アメリカ編と日本編の二部構成になっています。
20世紀初頭、ヴォードヴィル劇場から、低価格の常設映画館(ニッケルオディオン)へ上映形態が移るのに合わせて、そこで上映される映画が、移民達それぞれのエスニックアイデンティティを表象する1910年代がわくわくするくらい面白いです。長年、人種差別を受けてきたアフリカン・アメリカンは、映画館でも隔離(娯楽施設での黒人隔離政策)されてきましたが、ニッケルオディオン全盛期には、黒人劇場専門映画が製作されていた事、この本で初めて知りました。