映画館と観客の文化史
- 作者: 加藤幹郎
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/07
- メディア: 新書
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映画の作り手ではなく、映画を観る(消費する)観客と上映形態(映画館)との関係の変遷を追った解説書です。アメリカ編と日本編の二部構成になっています。
20世紀初頭、ヴォードヴィル劇場から、低価格の常設映画館(ニッケルオディオン)へ上映形態が移るのに合わせて、そこで上映される映画が、移民達それぞれのエスニックアイデンティティを表象する1910年代がわくわくするくらい面白いです。長年、人種差別を受けてきたアフリカン・アメリカンは、映画館でも隔離(娯楽施設での黒人隔離政策)されてきましたが、ニッケルオディオン全盛期には、黒人劇場専門映画が製作されていた事、この本で初めて知りました。