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エージェント・マロリー(ネタバレ)/キスは死へのプレリュード


■ワンダーウーマンが走る!
スターチャンネルでバンバン流れていた予告、太ももで男性の首を絞めつける、ものすごく素敵なシチュエーション(←しかも、ストッキングは伝線している!)に惹かれて(笑)、観てきました。マロリーを演じたジーナ・カラーノさんを見たのは初めてです。男性同士の格闘は全く興味を持てないのに、女性が演じてると、キックひとつとってもよりリアルに感じられます。自分の体の延長としてのアクションだと意識できますから。。
時制のシャッフルはあるものの、サスペンスとしての骨子はいたってシンプル。ジーナ・カラーノの身体能力を生かす方向に重心が置かれていて、バルセロナの街を彼女が全力で疾走する、石の文化圏特有の路地を、奥行のある画で捕えたショットとか、雑居ビルの狭さを生かし、壁を使い反撃するシーンとか、面白かったです。同じくバルセロナ編で、劇伴以外の音を廃し、モノクロームとカラーパート、生の映像にモニターの映像と自動車のミラー等のカットを細かく織り交ぜて自在に操る編集も印象的でしたが、この後、疾走するマロリーの息遣いと共に、それまで封印されていた音が甦ってくるタイミングが良いですね。
マロリーの相手役として用意された三人の俳優さんも、それぞれのパートに変化があって退屈しませんでした。中でもマイケル・ファスベンダーのパートがお気に入りです。MI6直々のご指名があったミッションが、実はマロリーを嵌めるトラップだったと気付く事になるダブリンのお屋敷の階段の壁が、赤く塗られていたんですよね。任務上、黒のシックなドレスを纏った美しいマロリーが赤く塗られた隘路を進む━脚フェチのブニュエルならば、チャイナドレスにハイヒール、現代に甦った纏足製造機みたいな衣装で、マギー・チャンを何度も階段を上り下りさせたウォン・カーウァイなら、絶対に放ってはおかない舞台設定でしょうに…ソダーバーグ監督はこういった方面には淡白なんですよね。何故、階段を下りていく脚を映さないのか…その後に、文字通りの足技が炸裂するので、控えたんでしょうか。。部屋に入るまでにヒールを脱ぐのも、男女の情愛の機微じゃなくて戦闘準備だったし…。英国紳士らしい物腰と、それでも消せないある種のいかがわしさがファスベンダーにはあって、このパートは本当に愉しかった。
コブレンツ(マイケル・ダグラス)の登場シーンには、何度も星条旗が映り込んでいるのも面白かったです。一応政府の役人(CIAの要人)なので、アメリカ国旗が登場しても何の不思議もないのですが。マイケル・ダグラスって私には「ミスター・アメリカ」のイメージがあるんです。WASPの新保守層を演じる事が結構多くて(マイケル・ダグラスの父、カーク・ダグラスはロシア系ユダヤ人でしたが)アメリカ大統領役をやったことも…。病状はどうなんでしょう、見た目だけではお元気そうでしたが。。ひげのおじさんがアントニオ・バンデラスだとは、終盤まで全く気づきませんでした。「最終的な黒幕は誰か?」の謎をひげだけで片づけてしまうとは(笑)。誰しもが憧れる悠々自適の引退生活、美女をはべらせ、艶やかな大粒のいちごを頬張る姿、ホントにお似合いです。

公式サイトhttp://www.mallory-movie.com/index.html