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L.A. ギャング ストーリー(ネタバレ)/何に忠誠を誓うのか

■私が、彼の好みなの
テンポよく、サクサクお話が進む作品です。その分、各キャラの掘り下げが甘く、ギャング映画としても、ノワールとしても物足りなかったです。東部(ニューヨーク出身)のギャング、ミッキー・コーエン(ショーン・ペン)が西部の街(ロサンジェルス)を支配しようと目論み、法と秩序が正しく機能しない無法地帯の西部で、悪人から「我らの街」を取り戻すために、戦争(戦う事)しか知らない刑事が、法の番人の立ち位置を離れ、悪人顔負けのならず者となりゲリラ戦を挑む━なんだか西部劇みたいでした。法を破ってまでこの戦いに勝利しなければならないジョン・オマラ(ジョシュ・ブローリン)がセリフ(自分とコーエンとの間には差がない)ではっきりと説明してしまってますよね。陸軍の情報機関にいた盗聴の専門家さんもそうでしたし…。善も悪もその境が曖昧になる、超法規的活動と、そこからの脱却(あるいは逸脱)は9.11以降、アメリカ映画で繰り返し描かれてきたはずですけど、本作、あまり上手く行ってるとは思えない。パーカー市警本部長(ニック・ノルティ)から信任を受け、ジョンがチームのメンバーを集めていく過程が大事でしょう?ここで、各キャラをしっかり見せておけば、終盤、いやが上にも盛り上がるのに(笑)。メキシコ系の刑事さん、脚本次第では美味しいポジションになりそうなのに、もったいない。行き当たりばったりのゆるい計画で(コーエンのカジノを襲った時、本物の保安官を映画のエキストラと勘違いする)それが笑いを誘う前半から一変、靴磨きの少年や身内に犠牲者が出る上に、何の罪もない一般市民まで巻き込んでしまう悲劇へと反転するはずが、ぼやけてしまってますよね。チーム内の不協和音をしっかり見せないといけないのに、セリフで済ませちゃってる。面白かったのが、ジョンの奥さんと、コーエンの愛人でジェリー・ウーターズ(ライアン・ゴズリング)と恋に堕ちるエマ・ストーン。このふたりの女性が頭の良いしっかり者なんですよ。古典映画によく登場する、男に従うだけで運命に翻弄される儚げな女じゃない、フェミ寄りの修整済み脚本なんでしょうか(笑)。コーエンに自宅を襲われ、生まれたばかりの赤ちゃんと妻を駅まで送るシークエンス。ジョンの切り返しの後、赤ちゃんを抱いた奥さんの姿が黒くつぶされてたのに驚いたんですが、これって死亡フラグか、ジョンとの永遠の別れ等、悲劇を連想させる画の筈なのに、ラストでジョンは警察バッチ(忠誠の対象)を棄て、アメリカを捨て(そらくメキシコあたりの浜辺)新天地で家族仲良くやってる姿が映ってたり、何なんでしょうかね、気になります。